生き残った人々は、荒れ果てた自分たちの故郷を捨てて、7年戦争の英雄として崇められ、
強力な軍権力を持ったマネスの領地エルモラド王国へ帰依した。
1つに統合したエルモラド王国は高い城壁を構え、外部からの侵攻を防ぎ、
それによって守られた国民達は平和な日々を送っていった。
エルモラド王国には平穏な時が流れていた。
エルモラドの平穏な日々は長くは続かなかった・・・。
王国の中に様々な病気が猛威を振るった。
'悪魔の血が流れる子供たち’
彼らの体には、破壊の神パトスの黒い血が流れていた。黒い血からあふれ出す魔力によって、
人々は病気に犯され、魔族の子供達は罪人のように隠れて暮らし、石を投げつける人々を避け、暗く
湿った裏道を人目を避けるように歩いた。
エルモラド帝国暦21年、魔族に対する大々的な弾圧が始まった。兵士たちは
魔族たちを捕え、司祭たちは彼らの体から呪いの紋章を剥ぎ取った。
抵抗する魔族たちは、冷え切った地下の監獄へ閉じ込められた。
そんなある日広野で育った魔族の子供は、立派な青年へと成長し、王国へ帰ってきた。
青年は屈辱と圧迫の中に生きる魔族達が、その昔、暗黒軍団と闘った戦士たちの末裔であることを目覚めさせた。
パトスの黒い血に濡れた戦士達は、呪いの紋章と黒い血が流れる子供を産んだのだ。
ジグエノンは、魔族たちから成る世界を探しに広野へ向かおうと魔族達に呼びかけた。
自分達の体に流れる黒い血の意味を悟った魔族たちは、青年の後に従い、広野へと向かった。
彼は、自分に従う魔族の群集を引き連れ、北へ向かった。
所々でパトスの敗残兵と戦いながら、エルモラドの兵士達の追撃から逃れる日々が始まった。
彼らは寒い夜と飢えに苦しんだ。
そうして3年の間、広野を彷徨った魔族たちは、ジグエノンに従い、この世の果てと呼ばれるイスカンス山脈を越えた。
山の向こう側には、氷に覆われた広々とした原野に、廃墟となったルポスン城があった。
そこはパトスの破壊が始まった地、エルモラドの兵士たちの剣と槍から守られた地であった。
ジグエノンはルポスン城を中心にカルス王国を建てた。
しかしエルモラドの司祭たちによって魔の紋章を奪われた魔族の肉体は、氷で覆われた地で生きていくには、あまりにも弱っていた。
厳しい気候によって死んでいった魔族たちは、不毛の地へ自分たちを連れてきたジグエノンを恨んだ。
ジグエノンは、魔族を救ってくれるようロゴスへと祈りを捧げた。
しかし、ロゴスはその祈りに応えなかった。
その時、救いの手を差し伸べた神は、ディエズであった。
ディエズへ魂を売ったジグエノンは、都市の中心に魔の神殿を建てた一方、
戦士ククリンを大陸の北の果てにある古代の迷宮へと送り込んだ。
ククリンは、迷宮を守っていた黄金の羊の首を切り落とし、魔の神殿の供物として供えた。
すると神殿から強い魔気があふれ出し、魔族の体から消えたはずの紋章が再び蘇った。
魔族の肉体は、以前よりも強くなった。
そしてカルスの魔の神殿から溢れ出る魔気は大陸全体まで広がり、エルモラドを脅かした。
これに対してエルモラドは、カルスの魔気を抑えるため、都市の中心に光の神殿を建てた。
エルモラドは、カルスを敵国として魔の神殿を破壊するため、騎士団を結成した。
エルモラドの敵意に対して、ジグエノンは過去の弾圧や、迫害への復讐と魔族の生存のために、エルモラド王国の打倒を宣言した。
こうして永遠と続く生存をかけた争いの歴史が刻まれていく・・・。